バスクのいいコトおいしいモノ~フランス暮しのグルメ帖~

料理・ワイン・お菓子・旅・好きなもの・ときどき帰省グルメ。

オーボンヴュータンがつくる伝統菓子ガトーピレネーの本場へ[フランス版バームクーヘン]

フランスには地方菓子、伝統菓子がたくさんある。

日本でもすっかりお馴染みのカヌレやクイニーアマン、ガトーバスクなどは

フランス地方菓子界の有名枠で、ごく一部。

地方菓子というほど広い範囲で作られておらず、小さなエリアに

ひっそり埋もれている郷土菓子もいっぱいある。

 

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現地では「ガトー・ア・ラ・ブロッシュ」「串焼きのお菓子」という名で親しまれています。ドイツの銘菓バームクーヘンとピレネーの山奥の郷土菓子が似ているなんて。ヨーロッパのお菓子文化の奥深さを感じます。 

 

有名無名においしさは関係ないと思う。

無名だけど珠玉のお菓子、「無名で終わってしまうのはもったいなぁ」

というようなお菓子もあったりする。

 

現地でしか食べられないものが多い。街ではあまり見つからない。

お菓子屋さんが作っているわけでもない。

職人さんがひっそりと山奥で作り、ひっそりと現地の人たちが味わっていたり

する。世に知られない所以だ。

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 お玉でたらたらとたらしながら一層づつ焼きあげる、根気と集中力のいる作業です。パチパチ薪の燃える音、薪の匂い、ラム酒の香り、生地の焼けるいい匂い、素晴らしかったです。

 

フランス旅行の楽しみのひとつは、そんな珠玉の地方菓子を

探すことだ。今年は、ピレネー地方の山の中で念願の「ガトーアラブロッシュ」

に出会えた。

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バスクから車で2時間ほど。ガトーピレネーの里はこんなに素敵な場所でした。牧歌的で心が洗われるような景色が広がっています

 

ピレネー山脈の山奥にある民家兼工房で、その幻のお菓子は

作られていた。電気でもガスでもなく、今なお薪オーブンで焼かれている。

1本を焼き上げるのに25分。

寒い季節はいいとして、昨今のフランスは猛暑日もある。

暑い日は灼熱地獄での肉体労働らしい。このお菓子が消えつつある

理由が分かったような気がした。

 

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 ガトーアラブロッシュをカットした断面はこんな感じ。生地はカトルカールみたいな食感です。バームクーヘンとの違いは、薪火オーブンならではの香ばしさと凹凸による食感のメリハリ。突起の部分は香ばしく、中はしっとり。

 

「ガトーピレネー」を紹介しているフランスのお菓子本はまだ一度も

見たことがない。まわりのお菓子好きなフランス人に聞いても、

知っている人は皆無。フランスでも無名のお菓子といえる。

 

そんな幻のお菓子「ガトーピレネー」を1993年にレシピつきで

紹介している方がいる。それは、かの有名なオーボンヴュータンの河田勝彦シェフ。

実家になぜかこの本があり、私は20年以上前から愛読していた。

なんと河田シェフの2014年刊の本では、ガトーピレネーが堂々と表紙を飾っている。

 

「オーボンヴュータン」河田勝彦の フランス郷土菓子

「オーボンヴュータン」河田勝彦の フランス郷土菓子

 


河田シェフはフランス修行中にこのお菓子に出会い、このお菓子を

つくるがためにドイツ製のバームクーヘン用電気オーブンを取り寄せ、

改良して使っているそうだ。バームクーヘン用オーブンで、

ピレネーの郷土菓子!さすが河田シェフとしかいいようがない。

 

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家業と伝統菓子を継承している若い人を見ると嬉しくなります。数年前、日本旅行をしたそうで「日本にも、ガトーアラブロッシュがあるから驚いたよ!」と。なんと彼はドイツのバームクーヘンを知らなかった...。そして日本のコンビニでバームクーヘンを見て和菓子だと思ったそうです...。お話できて良かった(笑!
 

ピレネーでも消えつつある焼き菓子を、東京で一生懸命つくっているパティシエがい

る。そのことを伝えるつもりだったのに、見学したり、質問したり、試食したりに

夢中で、伝えそびれてしまった。

 

幸い、職人さんはまだ若い。次回訪れた際は、河田シェフのことを話したいと思う。

 

www.mamiteeto.com

 

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